12-25.11.27『便座のない宿、牛がハマる罠』

旅のエッセイ
このエッセイは、13年前に書いた旅の日記を、現在の私が振り返りながら綴っている連載です。
当時の彼(いまは元夫)と一緒に出た、東南アジアからインドまでの貧乏バックパッカー旅。
あの頃の自分に、今の自分の言葉を重ねていくような、ふたつの時間をめぐる記録です。

12-25.11.27『便座のない宿、牛がハマる罠』

リキシャのおっちゃんに連れられチェックインしたこの宿、普段なら見せられた部屋で即決することの方が多いのに、結構何部屋も見た。

だってトイレの壊れてる率が高すぎ。
便座ないんだもん。
5部屋中4部屋ないんだもん。

便座があった1部屋も私は気に入らず、値段が上がるというが2階の部屋に。
ここは綺麗目な便座があって一安心! と思ってチェックインしちゃったけど、座ってみたら左側にずれるし、流した方から水漏れするし。

そして何より網戸がない。
それは全部屋同じみたいだけど。

ここの蚊の多さ、半端じゃない。

蚊をやっつける電気ソケットの機械を購入して以来、蚊に悩まされることはなくなっていた。
網戸がないけれど暑いから窓を開けるしかない。ってかもともと空気孔みたいなところもあいちゃってるから窓を閉めて頑張ったところで手遅れ。
それでもソケットが機能している間は頑張ってくれている。



停電…



ソケットパワーオフ

ぷぅ~ん

っっ!!
がゆ~い!!

薬塗り塗り。
しばし戦う。
宿の人が起きてきてやっと自家発電に切り替わる。
ソケットと空調復活。
訪れる安眠。



…停電。
ソケットパワーオフ。

ぷぅ~ん

っっくっそ!!

をこの夜中に何度繰り返したことか。

ブッダガヤでは自家発電にもきりかわらず、夜中は蚊だけではなく、ファンが止まった故の灼熱地獄にも耐えなくてはいけなかったから、自家発電があるだけでもマシだし、暑すぎることはないからまだいい、と言いたいところだけど、蚊が痒すぎる。

しかも一応部屋に蚊帳がついてるんだけど、ダブルの部屋なのに蚊帳は1人サイズ。
ある意味ない。
隣の空き部屋のぞいたら2人サイズ。
おい。適当すぎだろ。

何部屋か見て思ったのは、部屋によって値段は一緒でもだいぶ違うということもある、ということ。
色々見てから決めた方が得なのかも。

今も朝6時半。
なんで自家発電してくれないのか分からないけど停電中。
かゆくておきた。寝られない。
先に三日分も払うんじゃなかった…

そして二度寝をし10時半起床。
まだ停電中。しかも水出ない。
水は12時まで出ないらしい。
なんなん…。

宿だけでなくご飯も死活問題が。
マハーバリプラムは観光地化されすぎていて、安いごはん屋さんがない。
しかたがないのでレストランで食べるしかない。
1番安くて一皿90ルピー。
安く食べられるところでは2人でお腹いっぱい食べても90いかないこともあるのに。
本当にインドは訪れる場所で全く違う。

そんな時に出ました、彼の図々しいけどグッジョブな発言。

90ルピーがそのお店で1番安いメニューだったので、フルーツヨーグルトサラダのムスリーをオーダー。
食べると酸味のみ。
甘みなし。
せめてお砂糖くれないかなぁ、と私が彼にこぼすと、

Do you have honey?

と店員に聞く彼。

えー!!?
普通ハニーがかかってると値段変わったりもするんだけど…もらえるわけないんじゃ…
っと思ったらくれたー!!
ペットボトルに入ってる蜂蜜をぐるっと一周ムスリーにかけてくれた。

なんてこったい!
完全に言ったもん勝ちの世界だな!(◎_◎;)
図々しさにも驚いたけれど、通用する世界にもびっくりです。

クリシュナのバターボールとアルジュナの苦行を観光したのち、天気も良くなく写真映えが悪いのでとりあえず海へ。

えっ? 入んの?!
ってくらいさほど綺麗ではないし、ほとんど人が入っていないのにずんずん入っていく彼。
うへー。
私はさすがに入る気もせず、砂浜で山を作っていると、途中から協力してくれた彼。

すると、急に
「落とし穴作りて~!!」
と言って本気で掘り始める。

え…。

「新聞持って来て!」

え…。
誰か落ちたら危ないじゃん! と私。
「おもしろいじゃん! ぐへへ!」と彼。
この悪ガキ…!

するとさっきまで西洋人に物乞いしてた子どもたちがよって来た。
「なになにー!!」と興味津々の様子。
必死に掘る彼の真似をして一緒に掘り始める。
穴がある程度できてくると、顔から突っ込んだり楽しそうな子どもたちと彼。

怪我したらどうしましょと心配ばかりで見ていられないおばさんな私。

木の枝を拾ってきて十字に組み、その上に落ちている布を被せて本格的に落とし穴を作ろうとするガキ大将な彼。
子ども達も枝を拾ってくる。
落ちて枝が刺さったら危ないじゃん! と遊びを知らない私。

「大丈夫だよ、ぐへへ。」

わぁ! 赤ちゃん落ちた!
うん、ちょっといたそうだけど大丈夫そう。
楽しそうな子どもたちと彼。
結局うまく隠せる布がなく、途中から砂の掛け合いっこに変更。
走り回って砂をぶつけ合う子どもたちと彼。

無邪気だなぁ。

と見ていると、牛が落とし穴に興味津々!
ズルズル前足が落ちてた!!

ガキ大将の心を持ったおじさんな彼は今お疲れのご様子です。

—From the present me


なんだかこう、生真面目というかクソ真面目なところが昔からずっとあって、こういう遊びを無邪気に楽しむより「危ないじゃん!」が優ってしまって楽しめない自分にコンプレックスがある。
この過度に「危ないじゃん」を怖れる感覚の原体験はどこにあるんだろうな。

明日の日記はこちらに続く

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