12-25.11.02『プネーで直面した現実と優しさ』

旅のエッセイ
このエッセイは、13年前に書いた旅の日記を、現在の私が振り返りながら綴っている連載です。
当時の彼(いまは元夫)と一緒に出た、東南アジアからインドまでの貧乏バックパッカー旅。
あの頃の自分に、今の自分の言葉を重ねていくような、ふたつの時間をめぐる記録です。

12-25.11.02『プネーで直面した現実と優しさ』

朝ホテルの部屋のドアを開けると新聞が置いてあった!!
さすがホテル!

申し訳ないけれど、読む用途ではなく、荷物の梱包にありがたく使わせていただきます(笑)。

今日は、彼がアーユルヴェーダを勉強しようと思っていた場所へ。

昨日、「その場所の住所も名前もわからない」と言った情けない私たちを見兼ねて、ホテルの人がわざわざ住所を調べてくださった。
まさかそこまでして下さるなんて。優しさが沁みる。

そのメモを握りしめ、リキシャのおっちゃんに連れて行ってもらう。

着いたのはマンションの一室。
迎えてくれたのもインド人のみ。

おや…?

ホームページが日本語で書いてあったから、すっかり日本人がいると思っていたのに。
英語オンリーだし、その英語も速すぎて全く聞き取れない。

ありがたいことに、講習を受けに来ていた日本人の方にお会いでき、状況を説明。
すると、思っていたのとは色々違っていて。
しかも、「とりあえず直接来ちゃいました!」みたいなノリは、かなり場違いで。

これからのことをもう一度考え直すことにした。
自分たちの無謀さや無知さ、準備不足さを改めて感じて精神的に落ちた。
現実を思い知らされて一気に疲れが襲ってきた。
このプネーのリッチさの中にいる情けない自分たちの場違いな状態にもやられたのか、体調を崩す彼と私。

ただ、プネーの人たちはほんとうに親切。
道を尋ねると途中まで連れて行ってくれたり、英語が話せないリキシャのおっちゃんとの間に、どこからともなくやって来て通訳してくれる人がいたり。

英語を話さない人には片言の英語も通じず、
英語を話す人の英語は速すぎて聞き取れず、
リッチすぎて感覚のズレもかなりあって。

泣きそうなときに、優しい人が現れて、また泣きたくなる。
ありがたいやら、情けないやら。

ここに長居はできないからハンピへ向かおうとするも、列車のチケットは取れず。
結局この高いホテルに、明日もステイ。

もう割り切るしかないね。

—From the present me


とりあえず来ちゃいました、のノリでなぜ行けると思っていたんだろう。
弟子入りしに行くような感覚だったのかな。
普通に講習を受けるなら申し込みが必要だし、
そもそも英語もほとんどわからない状態でインドでアーユルヴェーダを学ぼうなんて。

今なら無謀とわかるけれど、それでも“何か目的を持って旅をしている自分たち”でありたかったのかもしれない。
だからこそ、現実を深く掘り下げないようにしていたのかも。

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