12-25.10.31『vs猿。エローラ石窟群に響いたゴング。』

旅のエッセイ
このエッセイは、13年前に書いた旅の日記を、現在の私が振り返りながら綴っている連載です。
当時の彼(いまは元夫)と一緒に出た、東南アジアからインドまでの貧乏バックパッカー旅。
あの頃の自分に、今の自分の言葉を重ねていくような、ふたつの時間をめぐる記録です。

12-25.10.31『vs猿。エローラ石窟群に響いたゴング。』

開門が6時という早さのため、5時起きをして始発のバスでエローラの石窟群に向かう!
つもりが朝から断水!!
「24時間水が使えるぞ!」
とかわざわざ言うから、当たり前じゃん!
と思っていたら、使えない時があるからわざわざ言ったのね(笑)
貯めておいた水でなんとか乗り切れて良かった。
気を取り直して出発。

今の時期朝晩は冷え込むからユニクロダウンを羽織りバスへと乗り込む。
バスの車窓からの朝日がすごくきれいで、2日連続で素敵な朝日を拝めることに幸せを感じる。
無事エローラに到着。
早起きした甲斐あり、まだ人もほとんどいない。
そんな中、石窟群の奥へと進んでいた私たちに突如として敵が現れた!!

顔の黒い白髪の手長ザルが
「シャー」と戦闘モード。
囲まれた!!!

相手は5匹。
こちらは2人。
だだっ広い場所で、なぜ私たちしかいないのかと思ったら、
ほとんどの人が車やリキシャで回るから、歩いている人が少ないのだった。

しかもこの先は行き止まり(あとで知る)。
その事実を知らない彼は、サルに囲まれながらも前進を試みる。

「アニメだったら目が赤く光ってるんじゃない?」
と思うほど、牙をむいて威嚇してくる戦闘モードのサルたち。

普通さ、引き返すじゃん?
えっ、行くの?
…行くんですね、はい。

負けずに石を持って投げるふりをして威嚇する彼。
さらに威嚇を続けるサルたち。
私涙目。
明らかにサルのが強いじゃん!
奴等に囲まれてジャンピング攻撃されたらかなわないじゃん!
危険に自ら飛び込んで狂犬病注射通いとか勘弁!
サルめっちゃ怖い!

引き返そうよと涙目の私をよそに、
このまま進むことしか頭にない馬鹿彼氏。

威嚇の甲斐ありボスっぽいサルは立ち去った。
一安心…
と思いきや下っ端がジャンピング攻撃仕掛けてきたー!!
この世の終わりかと思ったけれど、ジャンピングは幸運にもフェイントのみだった!!
なんとかフェイントをかわし逃げ去る彼とわたし。

なんかあったらどうするんだよ!
予期せぬ危険に巻き込まれるのと危険に自ら飛び込むのは訳が違う!!
引く事も大切だよ?
説教の甲斐なく例のごとく全く反省しない彼。

結局そんなに危険を犯して進んだ道の先に更なる試練が立ちはだかるわけで。
行き止まり

向こうの石窟群に続く道はあるものの、崖崩れでもあったのか、その道が金網で塞がれている。
金網で塞がれているとはいえ、明らかに何度も人が往来している金網が壊された穴は空いている。
行くか…
戻るか…
明らかに戻ってサルと第二ラウンドよりは、この抜け穴から行った方が安全!
そんな選択を迫られ涙目の時に救世主現る。
少しもためらう事なく金網を抜けて行くインド人!!
ごめんなさいだけど便乗。
感謝感激。

なんとかなったから良かったものの、これ、引き返すしかなかったらどうなってたんだろう…。
そんな困難もありつつも、石窟群自体はすごかった!
彫り物のクオリティはアジャンターには劣るものの、規模の大きさはすごい。
仏教、ヒンドゥー、ジャイナ教と、違う宗教なのに隣り合っているのもおもしろいし。
やっぱり仏教の仏様の顔が優しくて1番好きだなぁ。
エローラの彫り物は豊満ボディのおねいさんのものが多くて、途中でちょっと飽きた(笑)
でも、最後に行った第16窟を上から眺められる場所はなかなかの景色で、一瞬疲れを忘れるくらい清々しいものだった。

早起きしたので、一通り見終わったあともまだ午後になったばかり。
もったいないのでアウランガーバードへ戻り街をぶらつくも、本当にこの街は排気ガスと汚水の臭いがひどくて歩いているだけで頭がクラクラする。
ガイドブックを信用してはいけない。
明日はプネーへ。

—From the present me


絶対に敵キャラというビジュアルの猿に囲まれてこの時はほんとにこの世の終わりかと思った。
この5匹の猿たちとタイのアユタヤのバイオハザードみたいな犬2匹がこの旅での動物危険エピソードランキング上位2つの思い出。

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