12-25.07.02『ベンメリアとチップについて』

旅のエッセイ
  このエッセイは、13年前に書いた旅の日記を、現在の私が振り返りながら綴っている連載です。
  当時の彼(いまは元夫)と一緒に出た、東南アジアからインドまでの貧乏バックパッカー旅。
  あの頃の自分に、今の自分の言葉を重ねていくような、ふたつの時間をめぐる記録です。

12-25.07.02『ベンメリアとチップについて』

今日も日本人の仲間11人で、トゥクトゥクに乗ってラピュタのモデルになったと言われているベンメリアへ。
これもまた、仲間が人数を集めてくれたり、トゥクトゥクの交渉をしてくれたりしたおかげ。本当にありがたかった。
1時間半ほどと聞いていたのに、なんというエコ運転。びゅんびゅん他の車に追い越され、結局3時間近くかかった!
それでも、トゥクトゥクのお兄さんがすごく可愛くて面白くて、長時間の移動も苦にならなかった。
 
カンボジアでは、移動中でもすれ違う現地の人が手を振ってくれる。
   
これがなんとも嬉しくて、胸があたたかくなる。

こんな車も発見!
   
 
ベンメリアはあまり修復されていないままの遺跡がそのまま残っていて、これまでの遺跡とはまた違った趣があった。
   
ガイドのおじさんが「ここ、私も登るんですか?」と言う過酷なルートを案内してくれて、へとへとに。
でも、観光客があまり通らないような場所まで見せてくれたのは、嬉しかった。
   
そしてその途中で、「ラピュタっぽい」とおじさんが言っていた場所があった。
きっと日本人が何度も言うから覚えたんだろうなと思う。

 
私はてっきり、案内は拝観料に含まれているのかと思っていた。
だから、最後に「ガイドマネー」と言われたとき、驚いて払わなかった。

すごく親切にしてくれたおじさんだったのに…。
あとで別ルートでまわっていた仲間から事情を聞いて、なんて失礼なことをしてしまったんだろうと思った。

ここではチップが当たり前。
もし払いたくないなら、案内を断るべきだった。
してもらうだけして、最後に何も返さないのは違うよなぁ。

日本ではなじみの薄い文化だけれど、こちらでは当然のこと。
ひとつ、また学んだ。おじさん、本当にごめんなさい。
この日記を読み返して、「本当にラピュタのモデルなのかな?」と気になって調べてみた。
スタジオジブリとしては否定しているらしい。
それでも、実際の雰囲気はやっぱり「ラピュタっぽい」と思ったし、
現地の人が片言で「ラピュタっぽい」と話していた声も、今でも耳に残っている。

チップを渡さなかったときのおじさんの悲しそうな表情も、ずっと覚えている。
いままで書いてきた日記を読み返すたびに、当時の自分と今の自分の考えの違いを感じることがあったけれど、
それも、こうしたひとつひとつの経験があってこその今なんだな、と思った。

明日の日記はこちらに続く

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