12-25.06.21『アユタヤに来た!』

旅のエッセイ
このエッセイは、13年前に書いた旅の日記を、現在の私が振り返りながら綴っている連載です。
当時の彼(いまは元夫)と一緒に出た、東南アジアからインドまでの貧乏バックパッカー旅。
あの頃の自分に、今の自分の言葉を重ねていくような、ふたつの時間をめぐる記録です。

12-25.06.21『アユタヤに来た!』

アユタヤ行きの電車に乗るため、バンコクの東京駅のような大きな駅へ。
そこから二時間近く揺られて、バンコクからアユタヤへと向かう。

車窓から見えるのは、自然いっぱいの風景。
牛までのんびり歩いていて、やっと旅に出た実感が湧いてきた。

電車は一等、二等、三等と分かれていて、一等はクーラーつきの高級車。二等はクーラーなしでも十分きれい。
三等はボロボロだけど15バーツ、と値段が露骨に違う。

もちろん私たちは三等。
イスも硬いし大変かな?と思っていたけれど、
景色を眺めていたらあっという間に到着。

駅を降りると、流暢な日本語を話すタイ人のおばちゃんに声をかけられる。
「ゲストハウスを紹介するよ」と言われ、「車で送るよ」とも言われたけど、ちょっと強引で警戒してしまう。
自分たちで行くことにして、渡し船で街の中心へ。

紹介された宿を探していると、なんとさっきのおばちゃんと再会。
宿まで案内してくれる。すごく綺麗で安い…逆にちょっと不安になってくる。

少し警戒しつつも中に入っていくと部屋の中もピカピカ!
トイレには、おしりを流すプチシャワーまでついてる!
(タンクからホースが伸びていて、ホースの先にシャワーヘッドのようなものが付いている。
レバーを握ると水が出る仕組み。)
   
なんと、シャワーもお部屋の中に!
今まではずっと共同だったから感激。
しかもタオルと石鹸まで置いてあるし、Wi-Fiもある!
バンコクの宿と20バーツしか違わないのに、これはすごい…!

紹介してくれたおばちゃんは、昔の旦那さんが日本人だったそう。
旅が好きで、数十カ国を旅していて、前の旅では、五歳年下の川越在住の日本人男性と恋仲になったとか。

私の彼も川越住まいということもあって、親近感からか、facebookの写真を見せてくれたり、写真のアップの仕方を聞かれたりと、とてもフレンドリーで明るいおばちゃんだった。

そしてもう一人。
神戸から一人で来たという、THE関西人!なおばちゃん。
「Yahooの開き方教えて〜」と声をかけてくれたのをきっかけに、マシンガントーク!

「日本人って安心する〜。一人やから不安やわ〜」なんて言いながら、英語も堪能で、外国人ともどんどん会話してる。

「この人郵便出したいみたいやねん。郵便局このへんある〜?」
なんて、周囲のお世話までしていて、まさに“関西のおばちゃん”!

見た目は50代かと思ったけど、なんと68歳とのこと。
やりたいことに向かって、自分のパワーで頑張っている人は違うな。

思っていたよりも都会の景色だったバンコクでちょっと沈んでいた私に、旅のワクワクを感じさせてくれたアユタヤ。
当時は「人生を楽しんでいる大人」に出会うこと自体が新鮮で、あのおばちゃんとの出会いは、衝撃だった。

そして今。
あの時“輝いてるな、いいな”って思ったおばちゃんみたいに、人生を楽しんでいる大人たちが、自分のまわりにたくさんいることが、本当にうれしい。

明日の日記はこちらに続く

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