12-25.09.05『コルカタでの交流を大満喫した雨の日』

旅のエッセイ
  このエッセイは、13年前に書いた旅の日記を、現在の私が振り返りながら綴っている連載です。
  当時の彼(いまは元夫)と一緒に出た、東南アジアからインドまでの貧乏バックパッカー旅。
  あの頃の自分に、今の自分の言葉を重ねていくような、ふたつの時間をめぐる記録です。

12-25.09.05『コルカタでの交流を大満喫した雨の日』

「さとし」との再会

サダルストリートにはさとしという大阪弁が話せるインド人がいる。
さとしは彼が以前きた6年前も同じサダルストリートにいて、というかそれより前からずっと多分ここにいて商売をしている。

彼も初めて来た時は、「日本語が話せるインド人は悪いやつ」と思っていたらしく、さとしのことも、話しかけられても冷たくあしらったらしい。
そんでさとしに説教された。
さとしはずっと小さい頃からこの場所で旅行者と戯れていた。
そして大阪弁を覚えた。
日本語話せるやつがみんな悪いと決めつけるな!と。

そんなさとしに今朝ばったり会った。
それは今日も朝から雨が降り続き、重い腰を上げて朝ごはんでもと外に出た時のこと。
少し再会の挨拶と会話を交わした後、さとしが美味しくて安いレストランまで案内してくれることに。
さとしの店は当時もお店を広げていた路上と、最近家の二階にも新しく作ったとのこと。
さとしは日本人が好きで、ほとんど日本人相手に商売をしている。

ご飯を食べた後、さとしとともに新しいさとしの店に行く事に。
店、と言ってもほんとに小さいスペースにかわいい紅茶や小物類が並べてあるだけのお店だけれど、でも日本人好みのかわいい品々がたくさんある。
その中でも彼が一目惚れしてしまったのが、シバ神が彫られた南京錠。
 
820ルピー。
ご飯や宿代を考えるとかなりたかい…
でも一つ一つ手づくりで作られているもので、そのクオリティを見ると納得の価格。
結局その南京錠と巻くもよし、敷くもよしの布二枚を購入。
1250ルピー。
さとし商売上手(笑)

ただ、昨日出会ったおっちゃんも言ってたけど、日本では全て値段が決まっているが、インドは違う。
高くなっても本物を売りたいというポリシーを持って本物だけ売っている、と。
きっとさとしもそう。

そしてこっちでの買い物の値段は自分が値段に納得したら買うこと。
品物のクオリティが値段に見あっているかしっかり自分で見極める。
満足の買い物です。

使えなかったコイルと勘違いしていたインド

そんな良い買い物がある一方、昨日壊れたコイルの代わりに買ったコイルが30分買っても40分たってもお湯が湧かないので新しいコイルを買いに行くことに。
インドでは良くあることで、1回で壊れることも多く、長持ちすれば儲けもんだそうな。
そんなわけでコイルをおいていそうな店を探すも、朝から降り続く雨のため、露店自体が少ない。

昨日コイルを買った場所もお店は閉まっていたが、ジャッキーチェンに似てると陽気に絡んできた彼がいた。
どこに行くんだと言われたので、
コイルを買いに…
と言うと、
「5分10分で昨日買ったもので沸くだろう?」
と彼。

40分待ったけど沸かなかったよ(/ _ ; )
と言うとなんと、
「それなら今日は休みだけど明日持ってきなよ!新しいのと交換するよ!」

リリリリアリィ?!

「もちろんさ!仕事でやってんだから、使えなかったら交換するのは当たり前だろう?」
とな!

なんてこったい!
まさか変えてもらえるなんて!
最初から諦めていてむしろごめんなさい!

驚きを隠せないまま陽気な彼と握手をしてさよなら。

インドで初映画

そのまま街をぶらっとするも一向に雨がやまないので今日は映画に行くことに。
タイガーってのが流行っているらしいので見たかったのだけど、入った映画館では見当たらず、何やらエイリアンがポスターにいる『JORKER』という映画が目に飛び込んできた。
これならば言葉が分からなくても面白いかも。
開始が12時半からと、40分ほど待てば見られることもあり、これを見ることに。
1人60ルピー。
まだまだ雨もやみそうもないので映画館内のイスで開始まで待つ。

いつものことながら彼はタバコを吸いに外へ。(いつになったら禁煙するんだろう…)
一人残された私は廊下のイスで脚をぷらぷらして待つ。
するとインド人に
「何人だ?」
と声をかけられる。

ジャパニーズだと言うと、ネパーリーに見えたと!
なんか嬉しい!!

チャイを飲むかと言われたけど、いくらか分からないので首を振るとおっちゃんは去って行った。

すると次は別のインド人。
耳が聞こえないから話ができないとのこと。
ジェスチャーで会話。
これがまた分かるもんで、たわいもない話だが、この映画は面白いとか、一人かとか、いくつか会話を交わす。
そしてそばにいたヒゲの細身のおっちゃんが、周りにいた人たちが飲んでいたチャイを分けてくれた。

いくら?
と聞くと、マイフレンドだからあげるよ!
と。なんと!

ティーカップはひび割れ、大分年期が入っていて、これを飲むことに少しも不安がないというと嘘になるけれど、有難く頂く。
彼らはこの映画館の掃除がお仕事みたい。
タバコを吸っていたうちの彼が戻ってきてからも、耳が聞こえない彼と話をしたり、またここでもなついてきた劇場の猫と遊んだりしながら映画の開始を待つ。

途中、トイレに行くと、和式トイレの頭半分と、後ろは水道がついた床のみという空間の個室と、洋式だが便座がなく、中を覗くとトイレのヌシのようなでかいクモがいて、 わぉ…
と思っているとさらにゴキがダダダと横切った個室の二つのみしか選択肢はなく、 迷った挙句前者を選んだのだけど、後から聞いたところによると、どうやらそっちはシャワールーム?だったっぽい。
ごめんなさい…。流したから許して。

映画は予想以上に面白かった!
かなり破天荒な内容。
インド映画は急に踊り出す、で有名だけど、歌と踊りも楽しいし、ストーリーもヒンディー語は分からずとも何となく分かって大満足。

いや~インド面白い!

すっかりインドの歌にも惹かれてしまって、ラジオも楽しんで聴いています。
楽譜で表すとしたらトリルになるのかな?分からないけど、とにかく好き!
やっぱりインド音楽習いたいかも♬

三食カレーとお腹の悲鳴

食事もすっかりインドインドインド。
朝はさとしに連れて行ってもらったカレーとナン 20ルピー。
昼はさとしに教えてもらったベジレストランでターリー。
ターリーは、カレー定食のようなもので、1プレートにご飯とダル(豆スープ)とカレーとあとゴーヤと豆の何かと、グラタンのような味のもの(これ、すごく好きだった!)の付け合わせがついて約35ルピー。
値段聞かずに食べて、100ルピー払ったら、二人とも同じものを頼んだのにお釣りが27ルピー。なぜ奇数?(笑)
正規の値段は謎に包まれたまま。
この昼のレストランで、手で食べるデビューもしてみた!

インドはみんな手で食べると思ってる人も多いと思う。
実際手で食べてる人が多いのだけど、旅行者にはちゃんとスプーンを出してくれる。
最初はスプーンで食べていたのだけど、彼は手で食べてるし、レストランに水道もあったので、チャレンジしてみることに。
やってみて気づいたこと。
手で食べた方がおいしい!!
きっとおにぎりをお箸じゃなく手で食べる方がおいしいのと一緒。
ローカルが手で食べてるものは手で食べたほうがおいしいんだ。
このままだと手が黄色くなって帰ることになりそう。 朝、昼とカレーカレーで、夜はカレーやだなぁ~あっさりしたものがいいなぁ~ と私は昨日食べたベジモモ(水餃子のようなもの)が食べたかったのだけど、彼が、あそこにもう一度行くのはしゃくだみたいな感じで、お釣りくれなかったことを根に持って行こうとせず、結局気づいたらまたカレーを食べることになっていた! 途中でもう辛いとか重いとかより先に、あ、体が受け付けてない…みたいな状態になり、ロティ(ナンみたいなやつ)のみ食べる。 だからもう今日はカレーやだって言ったのに(/ _ ; ) うぅ…お腹がかわいそう。 ただでさえ、屋台やローカル食堂でしか食べてないのに、未だにお腹壊してない私のお腹偉い! と、かなり感謝をしなくてはいけないくらいの頑張りようなのに、さらに三食カレーで痛めつけるとは…。 ごめんねお腹。 明日は優しくするから何とか今日は頑張ってー!! 一日雨で寒いし夜空を見ながらの水シャワーお風呂は明日に見送り。 お腹あっためてビオフェルミンのんで寝ます。 そういえば昼飯の帰りにランチの約束をすっぽかしてしまったワッキー似のにいちゃんと再開! 昨日両替できるとことを探していた時に連れて行ってくれたインド人の若者と一緒だった。 やっぱりちゃんといい奴だったのか…? 「なんで、昨日来なかったんだ?」 と聞かれ、 「ビコーズ レイニィ!」(ほんとに言ったっ…!) とうちの彼。 「そうか、俺も雨だから行かなかったよ。」 …まじかいっ!!

  —From the present me


インド編に入ってから毎日楽しすぎて日記をたくさん書いているのでかなり長い(その日に書いているものがいくつもあって、それを一つにまとめている)すっかりインドの歌にも惹かれたということが書いてあったけれど、この時からだったんだ。今でも私はインドの楽器の音や曲が好きで、最近ちょうどインド向けのBGMチャンネルをYoutubeで始めたところだった。その原点がこの日にあったことがなんだか嬉しい。

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