12-25.10.03『アムリトサルのゴールデンテンプル』

旅のエッセイ
  このエッセイは、13年前に書いた旅の日記を、現在の私が振り返りながら綴っている連載です。
  当時の彼(いまは元夫)と一緒に出た、東南アジアからインドまでの貧乏バックパッカー旅。
  あの頃の自分に、今の自分の言葉を重ねていくような、ふたつの時間をめぐる記録です。

12-25.10.03『アムリトサルのゴールデンテンプル』

宿に南京虫がいたので一刻も早くハルドワールを旅たたねばと、いったい移動に何時間かかるのか分からないまま荷物をまとめてバススタンドへ。
バスに乗ると320ルピーと言われる。
なんだか周りの人の支払いをみていると私たちだけ多い気もするけれど、ガバメントバスだし信じるしかない。
到着時間は午前12時とのこと。

ん…?
午前…⁈

これはバススタンドで野宿かなぁ…と不安になりつつ出発。

バスはガマメントバスということもあってか、きちんとトイレ休憩を、「トイレのある場所」で取ってくれて安心して乗っていられる。
始めから乗っていた人たちは途中でどんどん降りて行き、ハルドワールから乗っているのはついに私たちだけに。
料金をぼったくられているのではと疑ってごめんなさい。

乗客も10時をすぎる頃にはほんの5、6人となり、通路をまたげば足を伸ばして寝られるように。
昔はそんなの恥ずかしいからやめて、と彼を止めようとしては、しかとされて怒っていたのに、いまや自らの身体を苦痛から守るために率先して一列使う私。
図太くなったなぁ…。

バスが遅れることを期待したものの、きちんと予定通り午前0時に到着。
しかもまたしてもスタンド内ではなく道端に降ろされる。
この時間に謎の場所に置き去りはほんとやめて…。

降りるなり5、6人のリキシャに囲まれ、みんな我先にと話しかけてくるのでなにがなにやら分からない。
今どこにいるのかも分からない。
確実なのは野宿にはならなそうということだけ。

そこへ1人の若者が、あっちに宿がある、と歩いて連れて行ってくれる。
つれて行かれた宿は始め800ルピーと言われる。
ありえない…。
その部屋のクオリティも800とは思えない。
バス停に泊まるからいい、と言うと、他にも部屋を見せてくれたが、500ルピーというその部屋は、スイッチも破壊されてるし、かなりのロークオリティ。
結局なんとか500の部屋を400に値切って泊まることに。

今までの値段から考えると、かなりのハイコスト、ロークオリティでさらに疲れがのしかかる。
しかも、スタッフのやつがセクハラしてくるし!キー!!
用紙に年齢を記入したら、
「26?!14だろ!」
とバカにもされ…。14に見えるならセクハラするな!!

一通り手続きを終えたと思って部屋に戻るとまた訪ねてくるし。
寝させてくれ…。

なんとか朝を迎え宿を出ると、朝ホテルを出ると広がっていたのは、排気ガスで一面曇りに曇ったグレーな街。
もう二度と来ないぞってくらい、見渡す限りグレー。
排気ガス、自然にかえらないゴミであふれる道、すぐに何人もに囲まれる必死の勧誘。

長時間のバス移動で頑張って来たのに残念すぎる。
とにかくお目当てのゴールデンテンプルには行けないと意味がない。(そんな神々しいものがある気配が全くしないけれど…)
とにかく新しい宿を見つけなければ!

新しく見つけた宿は対応もいいし、部屋のクオリティも上がったのでよしとする。
お腹が空きすぎていたので、併設のレストランでごはんを頼むとびっくり!
160ルピーかかってなんとまあこの少なさ。
とがっかりしたのを反省。味はたしかにおいしかった。
そしてここのカレーはなぜか食べられた!
お腹を壊してから食べられなくなっていたカレー。
克服への道第一歩!

ただ、上品な量すぎて、まったくもってお腹いっぱいにはならず…
お腹を空かせたままゴールデンテンプルへと向かう。
なんとなんとこのゴールデンテンプルは入場料がかからない上に、宗教、人種関係なく、ターリーを無料で食べさせて頂けるの。
なんという太っ腹ぶり!!

リキシャで向かうと、数分走っただけで今までのさびれ具合が嘘のように活気づいた道に出てテンションもアップ!
今までいた場所っていったい…

あと少しで到着というところで、バンダナがおもむろにリキシャ内に投げ込まれてくる。
スィク教では、寺院に入るときは髪の毛を隠さないといけないので、信者以外でターバンがなければバンダナを貸してもらえると書いてあったので、それがこれかなと思って受け取ると、
「10ルピー。」 きたー!
売ってるんかい。
何人も投げてきすぎ!!

私はストールがあるので、ご返却。
彼は記念に購入。

寺院で靴を脱ぐのはどこでも同じだけれど、持ち込みも不可とのことでクロークへ。
普段は正規の値段なんて、あるの?っていう靴の預け場所しかないことも多く、インド人と一緒にその辺の隅においていくことも多いのだけど、まさに「クローク」と呼べるクオリティ!そして、無料!控えの札のクオリティの高さの安心感!

そして中に入ると圧巻!!
期待を裏切らなかった!
というか期待以上!
ディズニーランドにでも来ているようなワクワク感と、人の多さ。
 
 
この感じは久しぶり。

この規模で無料で見せて頂けるってすごいことだと思う!
写真撮りたいところがたくさん!!
彼と2人で写真を撮りたくてお願いできそうな人を探していると、なにやらばあちゃんが、自分を指差して何か言ってる。
ヒンディーだから分からないけど、ばあちゃんが写真撮ってくれるってわけでもなさそう。
親切な人が撮って欲しいのを察して声をかけてくれる。
ハイポーズ
って…ばあちゃん!
 
しっかりフレームインしてる!
私の肩に手までおいて!(笑)
撮り終わると手を出してくるばあちゃん。
でも、一緒に撮ったからお金ちょうだいって感じでもない。
撮った写真を見せると、写真はないのか?
というようなしぐさで少し残念そう。
昔ポラロイドで撮ってもらってプレゼントされたのかなぁ。

こっちにきて、ポラロイドがあるとすごくいいなって思う時がたくさんある。
写真撮らせてもらってすごくいい画が撮れた時にプレゼントしたいなぁ、とか、お世話になった宿の人と撮った時とか。
あとは撮りたいくらいかわいいけれど、撮れない子どもとか。
お金はあげたくないけれど、写真ならプレゼントしたいなぁって思う時がある。
それも良くない場合もあるから軽々しくはできないから難しいけれど。
ポラロイド持ってなくてごめんよ、ばあちゃん。

ばあちゃんを見送り、ごはん♫ごはん♫と食堂へ。
建物の中に入るとプレートが渡され、人数を区切って誘導される。
案内があるまでみんなプレートを持って並んで待機。
合図があると一斉に体育館のようなところへぞろぞろと入って行く。
床に細長い布がひいてあり、そこに腰をおろし、プレートを目の前に置くと、 すごい速さで中身が注がれていく。
   
カレー、ダル、チャパティ、ミルクで煮込んだごはん、と無料とは思えないしっかりしたターリー。
しかもなくなっていると注ぎ足してくれる。
太っ腹すぎるでしょ!

私はやっぱりカレーをたくさんは食べられず、彼が代わりにたいらげてくれる。
食事が終わると自分たちでトレーを洗い場まで持っていく。
すると、驚くほどの人数で流れ作業的にトレーを洗っていく。
 
そんなに人、必要?という感は否めないけれど、すごすぎて思わず動画まで撮ってしまった(笑)

ゴールデンテンプルの寺院の中は撮影禁止だったので写真はないけれど、大理石にガラスか石で装飾がされていて、かなりクオリティも高いかわいいデザインだった!
普段はお寺や観光地に行ってもあまりテンションの上がらない私も、このお寺は大満足!!
こんなに至れり尽くせりでは、さすがにきちんとドネーションをして帰ってきました。

寺院の外には、街だと15ルピーするビンのマンゴージュースが5ルピーで売っているところもあり、私と彼はここぞとばかりに3本購入(笑)

朝のカレーは美味しかったし、お昼のカレーもありがたく頂戴したけれど、カレーが続くのはやっぱり怖く、かといってホテルの近くにカレー以外のものが食べられそうなめぼしいレストランもないので、夜は新市街へ繰り出すことに。
行ってみたものの夜道の徒歩県内ではそこまで栄えている場所までは行けず、ファーストフードのようなものはないし、レストランは高すぎるし、肩を落としてトボトボ戻ろうとすると、お祭りの屋台のような夜限定の屋台街を発見!

すこし高いけれど40ルピーのハンバーガーにチャレンジ。
もちろん、2人で一つをシェア。
これがなんとめちゃくちゃおいしい!
ベジコロッケのようなものと、チーズ(日本のものとは全く別のものだけど)、トマト、キャベツ、などがぎっしりつまったところに、ケチャップやサワーをたっぷりのせてくれている。

もう一ついきたいくらいのおいしさだけれど、もう一つ食べても、心はみたされてもお腹はそうはいかなそうなので、他の屋台でチョーメンをオーダー。
これもなんとなんと、めちゃくちゃおいしい!
45ルピーだけれど量もかなり多く、見た目は焼きそばみたいで、出してくれたケチャップのクオリティも高い!
チョーメンってほんとに面白くて、店ごとに味つけも、麺も、見た目も全く違う。
今回は大当たり!!
美味しいものが食べられてすっかり充電満タン!

明日は楽しみにしていたダラムサラへ!

  —From the present me


バラナシからここまでまだカレーを食べられていなかったなんて。我ながらびっくり。
バスでの移動もお腹事情や寂れた町の様子も全く覚えていないけれど、ゴールデンテンプルの感動は今でも鮮明に覚えている。
白と金の寺院が真っ青な空に映えていて、信じられないほど活気があった。インドは街ごとに全く違う表情を見せてくれる。
それにしても、あの写真のばあちゃん、どことなく祖母に似ていた。

明日の日記はこちらに続く

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