12-25.09.09『戦いの夜〜HP復活の鍵はご飯〜』

旅のエッセイ
  このエッセイは、13年前に書いた旅の日記を、現在の私が振り返りながら綴っている連載です。
  当時の彼(いまは元夫)と一緒に出た、東南アジアからインドまでの貧乏バックパッカー旅。
  あの頃の自分に、今の自分の言葉を重ねていくような、ふたつの時間をめぐる記録です。

12-25.09.09『戦いの夜〜HP復活の鍵はご飯〜』

窓を開けっぱなしにしたせいで、夜は壁やシーツなど、白という白に集まりまくっていた虫との戦い。
なんとか戦いを終えて眠りにつく。
しかしまだ彼らとの決着はついていなかったのだっ…!

夜中に痒くて痒くて目覚めると、半端じゃない数の蚊に刺されていた。
もう嫌だ…(涙)
薬を塗っていると彼も起きた。

彼はパンツで寝ていたのでさらに被害大。
背中も刺されまくっている。かわいそうに…。

薬を塗って落ち着くと、なんとドアが少しあいていたことに気づく。
それでか…
暑さもあって汗もびっしょり。
かなりの体力を奪われている。
再度蚊取り線香をたき、なんとか眠りにつく。

明け方強風で目が覚めると雨が振り出し停電に。
当然ファンも止まる。
暗闇と猛烈な暑さの中かゆみにも耐えながら熟睡できるはずもなく、8時まで寝ていようとするも2人してぐったり。

この部屋は風の通りも悪く特に暑い。
今日もここに泊まるかどうするか考えたあげく、結局パッキングも面倒になりそのまま泊まる事に。
近くに屋台もないので宿でトーストバター付きを頼む。
30ルピーと少し高いがなんとか少しでも早く失った体力を回復しておきたい。

望みをかけた朝ごはんだったが、なんでトーストに残念になる余地があるのだろうというほど微妙。
がっかりして余計にぐったり。

そしてジュース飲みたーい!!
と近くの商店に行き、マンゴージュースを買う。
普段はビン売りだがペットボトルしかない。
35ルピーと少し高いが仕方がない。
なんとしてもパワーを回復したいのだ。

ゴクゴク…

…orz

だからさ、なんでまずくなりうるのさっ!!
ビンのマンゴージュースはちゃんとおいしいんだよ?
なんでペットボトルになるとまずくなるのかな?!
賞味期限きれてたとか何か疑いたくなるくらい謎だよ…。

そんな元気がないのもお構いなしにインド人は話しかけてくるわけで。
さらにさらに疲れるわけで。
観光しようとマハーボディーにいくもそこまで活気もなく、なんだかせっかく聖地なのにと悲しくなる。

ホテルのオーナーが経営しているお店で少し休ませてもらい、昼食を取るべく教えてもらったレストランへと向かう。
やっぱり少し高めだけれど、チベット料理のトゥクッパを発見。
ベジトゥクッパ2つとベジモモをオーダー。

身体に染み渡っていく旨み!!!
おぉおおおおおお!幸せ!!
野菜もたくさん取れたし、本当にご飯が美味しいだけでこんなに幸せで元気になれるのね!
やっとHP回復!!

その後もう一度マハーボディーへと向かう。
同じ道なのに時間帯がよかったのか、かなり活気もでていて、何より自分も元気なので絡まれても受け答えできるMPがある。
無視ではなく、
いらないよ~!
持ってるよ~!
とちゃんと言葉を交わしながら。

同じマハーボディーだけど今度は写真をとりたい欲も出てすごく楽しめた。
   
やっぱり自分が元気なだけで見える景色が変わる。
帰り道、急な豪雨で雨宿りをしていると、今度は子どもたちに囲まれる。
ポストカードやちっちゃい大仏を買って買ってと来る。

でもなんだかこの子達もちゃんと子どもらしさも持ち合わせていて可愛くて、もちろん買わないけど、
いらないよー!
なんだよー!
と遊んでいたらそれなりに楽しかった。

インド人はすぐ日本語を覚える、というか、発音が上手くて、私が日本語で
いらないよー!
というと子どもたちも真似してどんどん覚えてく。
(教えるのも商売に使われちゃあ良くないのだけど)

関わり方も自分次第。
イライラするかどうかも自分次第。
ぼられるか詐欺られるかも自分次第。

インド人が悪いわけじゃないんだよね。
インドでは自分のHPとMPをいかに高く保って宿を出るかが肝心なのかも。

  —From the present me


今当たり前のようにご飯を食べてしまっていて、なんなら無の感情でながら喰いしてしまうことまでそこそこあって、こんなに自分のパワーの源がご飯にある、ということを、思い出しては何度もついついうっかり忘れてしまう。
美味しいものが食べられるだけでこんなにパワーがみなぎるんだな。
日本ではMPが減っていてもある程度生きていけてしまって、HPが0に近づいていることもギリギリまで気付けなかったりするからこそ、自分自身でしっかり敏感でいなくてはいけない。

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